ノーチェ
…ねぇ、薫。
一体いつから歯車は狂い出したのだろう。
あたしはあなたの
味方でいたかった。
理解者でいたかった。
なのに
あたしはあなたを苦しめてばかりで。
ずっと、傍に居たのに。
あなたの傷に
気がついてあげられなかった。
自分の傷を塞ぐ事ばかり考えて、あなたに頼りっぱなしだったのは
あたしの方。
ごめんね。
だけど、これだけは言えるの。
あなたを支えたい、って思ってた気持ちに
嘘はなかったって。
だから、もう一度。
一度だけでいいから。
『莉伊。』
あたしの名前を
呼んで。
その、震える唇で。