ノーチェ
「ま、考えといて。」
と言いながら
単車に跨がった薫は
もう一つのヘルメットをあたしに手渡した。
「飯、食いに行こうぜ。」
「うん。」
あたしも、薫から受け取ったヘルメットを被って後ろに跨がる。
ここ最近、菜月や啓介くん達と居るよりも
こうして薫と二人で居る事が多くなった。
菜月と啓介くんが付き合ってるから、というのもあるけど
遠慮とかじゃなくて
薫と二人で居る方が
何だか安心出来る自分がいて。
菜月達は海に行ったり
映画を見たり、互いの時間を深めているけれど
あたしと薫は
ただご飯を食べに行ったり、バイクで走ったりと特に何をするって訳じゃない。
既に、二人で居るのはごくごく当たり前のようになってた。