ノーチェ


そんな事言われても…。



着慣れないワンピースがあたしをぎこちなくさせる。


「塚本様、お待ちしておりました。」

とタキシードに身を包んだ店員が深々と頭を下げて、薫とあたしを席まで案内してくれた。



「薫、莉伊ちゃん。」

個室になったその席は
窓から見えるオーシャンビューと夜景が
場違いなあたしに眩しく映る。



「旦那は?」

「まだよ。もう少ししたら来るわ。」

先に待っていた百合子さんは、気品ある白のロングドレスがよく似合ってた。


目が合って慌ててペコリと一礼すると

「来て下さってありがとう。」

と、アップにした黒髪をふわりと揺らして笑った百合子さん。



…やっぱり、綺麗な人だと思った。



< 140 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop