ノーチェ

…運命の、行方




会いたい、と願ってた。

だけど
願ったところで会えないのはわかってる。



だから、もう願う事すらしなくなった。

夢でさえ
あなたは会いに来てくれなかったのに。





――――どうして?


どうしてここに居るの?




「怪我はないか?」

呆然とするあたしを前に桐生さんは、いつもと変わらない様子で尋ねてきた。



「莉伊?おい、大丈夫か?」

時が止まったようなあたしに、薫が心配そうに覗き込む。

あたしは小さく頷いてみせた。



「勇人、とりあえず座ったら?」

そっと背中に腕を回した百合子さんは、桐生さんを席に座らせる。


疑問なんて、考える方がバカバカしい。





…二人は夫婦。


そんなの、誰が見てもわかる光景だった。




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