ノーチェ
…幸せの、行方
――あたしは、どこへ向かってるんだろう。
流されて、引っ張られて
きっとどうする事も出来なくて。
傷つけて、
傷つけられて。
『サヨナラ』
そう言えたら、きっと楽なのに。
それすら言えずに。
…薫。
どうか、お願いだから。
あなただけには
わかって欲しいの。
この、矛盾した想いを。
――どうか、あなただけには。
………………
暗闇に、小さなオレンジの光。
それはまるで、河辺に舞い上がる蛍のよう。
だけど、そんなロマンチックな光なんかじゃないって
わかってるからこそ、あたしはその光を見つめて呟いた。
「……知ってたの…?」