ノーチェ
知らない方が罪なのか。
知っている方が、罪なのか。
どちらも、きっと正解じゃない。
間違っているのは
あたし達のこの関係。
「……ごめんなさい…。」
思わず出た言葉に
桐生さんが首を傾げた。
そして優しく抱きとめると
「謝る事はない。」
そう言って、またあたしの髪を撫でる。
ごめんなさい。
あなたを、好きで。
ごめんなさい。
百合子さん。
…ごめんね。
――――薫。
自分の罪をわかっていながら、あたしはそれを抱えて生きていく事を受け入れた。
どうすればいいのか。
どうすれば、誰も傷つかずに済む?
その答えは、きっと
夜に紛れて
誰にも掴めない。
そう、きっと
誰にも。