ノーチェ
「あの人が薫くんのお姉さんなんて、超~美男美女兄弟だよね!」
そんな菜月の言葉に、少しだけ眉を下げた啓介くんは、洗い物をしていた手を止め
いつの間にかパーマの取れた頭をかき上げて呟いた。
「あいつと百合子さんは血繋がってないんだよ。」
「えっ!?そうなの!?」
驚いた菜月は、あからさまにあたしに視線を向ける。
「莉伊ちゃんは知ってるだろうけど…、」
と小さく前置きをつけた啓介くんは過去を振り返るように話し出した。
あたしはグラスを置いて啓介くんの言葉に耳を傾ける。
「俺と薫は、もう生まれた時から一緒でさ。まぁ、二人もわかってるように幼馴染みなんだけど。」
そう言った啓介くんは
煙草に火を付けてカウンター内にあるイスに腰を掛けた。