ノーチェ
カチャカチャとお皿とスプーンがぶつかり合い、時たま言葉を交わしながらオムライスを食べ進めてゆく。
だけどあたしは半分食べた所で手を止めた。
今、あたしに
悠長にオムライスを食べてる時間はないのだ。
「……薫、あのね、あたし…。」
「彼氏に会うんだろ?これから。」
薫に遮られた言葉は
まさにあたしが告げようとした言葉そのもので。
驚きつつも
「……ごめん。」と小さく呟いた。
「別に、謝る事はねぇけど。」
「……ごめん…。」
そして再び訪れた沈黙。
『今から会えるか?』
さっきの桐生さんの声が頭の中で反芻する。
ぎゅっとテーブルの下で拳を握って、あたしはそのまま視線を床に向けた。
だけど次に薫の口から出た言葉は、あたしの予想とは全く反したものだった。