ノーチェ
…すれ違う、心
カラン、と天にまで届きそうなベルの音が辺り一面に響き渡る。
その瞬間、教会の扉が開かれて真っ白な紙吹雪が空に放たれた。
「おめでとーっ!」
「幸せになれよー!!」
たくさんの祝福の嵐を受けて、菜月は啓介くんと微笑み合う。
そんな二人を見て
あたしの顔も自然と優しくなった。
真っ白のウェディングドレスとタキシードが
晴れた冬の景色によく似合う。
年明けの1月中旬。
菜月と啓介くんは
めでたく挙式をあげた。
「莉伊!」
視線が合うと、菜月は啓介くんから離れてあたしに駆け寄ってくる。
「おめでと、菜月!すんごい綺麗だよっ!」
「ありがとーっ!ごめんね、最近バタバタしてて連絡出来なくて!」
ドレスを纏っているものの、菜月は気取る様子もない。
あたしは微笑んで小さく首を横に振った。