ノーチェ



………薫。


あなたを拒んだのはあたしの方なのに
傷ついてるなんて、やっぱり身勝手すぎるよね。




『自分削ってまで追い掛ける恋愛に、未来はねぇよ。』

『その気持ちが本物だって事、俺がわかってるから。』

『何で、お前今にも泣きそうな顔してんの?』



いつだって、薫はあたしを支えてくれた。

受け止めてくれた。



手放したのは、あたし。

薫を裏切っていたのは、
あたしなんだ。




薫が傍に居る事が当たり前で、一緒に居る事がもはや

あたしの日常の一部だった。




…後悔したって遅い。

後悔なんて
意味ないんだよ。



『後悔なんて、しない人生にしたいじゃん。』

菜月に偉そうな事を言っておいて、薫を傷つけておいて


一番“後悔”してるのはあたしだった。




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