ノーチェ
二人の絆の強さ
そして薫の実らなかった恋心の強さを
改めて、実感してしまった。
それと同時に、薫を傷つけてしまった自分に
深く、後悔した。
だけど百合子さんはそんなあたしに少しだけ間を置いて、口を開く。
「ねぇ、莉伊ちゃん。」
「……はい。」
透き通るような声。
一方のあたしは、震えた声で百合子さんに返事を返した。
「…私からこんな事、言うべきではないの…わかってるんだけど、言わせて欲しいの。」
「…はい。」
今度は震えずに言えた。
真っ直ぐで、繊細で。
雪のように儚い百合子さん。
だけど瞳の強さは、全てを理解してるかのようなまなざし。
逸してはいけない、と思った。
百合子さんの言葉から
瞳から。
あたしは、逃げてちゃいけないんだ。