ノーチェ
そう、あたしは嬉しかったんだ。
ずっと自分を責めて、だけどどうする事も出来なくて。
自分で自分を、赦せなくて。
だけど、だけどね?
薫、あなただけは
こんなあたしを受け止めてくれた。
あたしの想いを知りながらも、ずっと
ずっと、変わらない優しさを注いでくれた。
何度も何度も、墜ちていくあたしを救い上げてくれた。
「ありがとう、薫。あたし…、薫に会えてよかった。」
心から、本当に、そう思ってるよ。
ちゃんと、伝わってる?
あたしの言葉に、優しく笑った薫は
「バカか、お前。泣くならマフラー返せよな。」
鼻水つくだろ、とあたしの頭を撫でた。
その温もりに、自分が泣いてる事に今更気が付いてしまった。