ノーチェ
………………
宝石箱を開けたような夜の街並みが外観に広がって、あたしはそっと窓に手を伸ばす。
夜景に落としてた視線を持ち上げると
窓ガラスに彼の姿が映って見えた。
「莉伊。」
低く響く、桐生さんがあたしを呼ぶ声。
ガラス越しに目が合って振り返ると、有無を言わさずに唇を奪われた。
「…んっ、桐生さ…、」
「ベッドがいい?」
耳元で囁かれる言葉に顔が熱くなる。
あたしは桐生さんの胸を押して体を離すと
「…話、あるって言ったでしょ?」
溢れそうな気持ちを押さえながら彼を見上げた。
あぁ、と呟いた桐生さんはソファに腰を降ろすと
「そう言えば、そんな事言ってたな。」
とマッチで煙草に火をつける。