ノーチェ


………………


「ごめんね、突然来ちゃって。」

「…ううん、平気。」

その返事に少しだけ安心したように微笑んだ啓介くんに、あたしは床へ腰を降ろす。


啓介くんも遠慮がちにゆっくり座ると

「これ、大した物じゃないんだけど…。」

とコンビニの袋をテーブルに置いた。



「莉伊ちゃん、もしかして何も食べてないんじゃないか、って菜月が。」

袋の中には、サンドイッチと栄養ドリンク、そしてお茶が入っている。



「……ありがとう。」

「うん。」


二人の優しさに、固まっていた心が暖められてゆく。



しばしの沈黙が続いて

「……もう、」と切り出すと視線を上げた啓介くんと目が合った。




「…もう、知ってるんだね。二人共…。」

「………うん。」



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