ノーチェ
百合子さんの写真はたくさんの真っ白な花々に囲まれながら、写真の中で微笑んで。
喪服の人々の啜り泣く声が所々で聞こえる。
見渡せば、みんな黒い服を身に纏い俯き加減で写真の中の百合子さんに手を合わせていた。
――目を覆いたくなる程の黒。
それは、死者を見送る為に着る黒色。
夜のような、優しい暗闇じゃなく悲しみだけがこの瞬間を包んでいて。
「……ごめん、啓介くん…。」
そう言って、耐え切れずにその場を離れた。
参列者から離れ、式場の建物に隠れたあたしは
そのままズルズルと地面に座り込む。
『…俺には、莉伊…。君が必要なんだ…。』
どうしてだろう。
ずっと、その言葉を待っていたはずなのに
こんなにも、あたしの心は虚無感だけが支配していて。
ただ、思う事は一つ。
『お前を、赦せない…。』
あの時、あたしは何て薫に言えばよかったのだろう。