ノーチェ


そんなあたしに、菜月は歩み寄って座り込み、そして視線を合わせた。



「莉伊。人は、傷ついて傷つけて生きていかなくちゃいけないんだよ。」


そう言って笑った菜月は

「だけど、人を傷つけたままじゃいけない。傷ついたままじゃ、前に歩けないじゃん。」

あたしの手を取り、強く握り締めた。




「ねぇ、伝えたい言葉があるんじゃない?薫くんにも、その桐生さん、って人にも。」

「……菜月…。」



……あぁ、そうか。

あたしはきっと
誰かにこうして、背中を押される事を待ってたんだ。

誰かに、こう言ってもらいたかった。



枯れてしまったなら、土を変えて、また新しい種を撒けばいい。

そして今度こそ、枯れないように愛をたくさん注げばいい。



ずっと永遠に
変わらない、愛を。




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