ノーチェ
やっと、気が付いた。
心の中にある、薫への気持ちに。
あなたへの、想いに。
「……あたしを、また受け止めてくれる?」
そう言って、想いと共に溢れた涙はポタリと地面に染み込んでゆく。
「莉伊……っ!」
遮られた視界に、薫の温もりを直に感じて。
そして、二人の体温が溶け合ったその時。
「……好きだ…。ずっとお前が、好きだった。」
耳元に届いた薫の言葉にあたしは、永遠を見たんだ。
夜はいつだって
あたしに優しくて。
触れるたび、あの人に
揺れていた。
求める事、愛する事
それよりもずっと、あたしは彼が、欲しかった。
瞬きする瞬間ですら
愛しかった。
だから惹かれた。
だから、溺れたんだ。
ならばいっその事。
この静寂の夜に溶けてしまえばいい。
優しくて、甘美なこの夜に
あなたごと、全て。