ノーチェ
「だけど直前になって店開けない訳にはいかねぇって。」
「…それで、薫が来たの?」
「そう。マジないよな。」
ははっと鼻で笑い、薫は炭酸の抜けたビールを流し込んだ。
「悪かったって。常連の奴でさ、断れなかったんだよ。」
困ったようにパーマのかかった髪を掻いて苦笑いを浮かべた啓介くん。
「だけど、よかったんじゃん?こうしてみんなで仲良くなれたんだし。」
な?、と菜月に同意を求めた啓介くんは
必死にその場を宥めようとしてる。
だけど、菜月のご機嫌はそう簡単には直らなかった。
「でも啓介が来てたらもっと早く出会えてたのにぃ!」
「んな拗ねるなよ~。」
あはは、とあたしたちに笑いがあふれる。
この4人で居る時間はすごく楽しかった。
無意識に笑顔になれるっていう事は
心の底から笑えてるって事だから。