ノーチェ
Noche2【傷】
傷の上に、また新たな傷を作って
それを癒そうとあたしはもがていた。
でも、もがけばもがく程
傷は開いていって
もう、治す術すらなくしてしまった。
いくら傷を隠したって
どんなに塗りつぶそうとしたって
それはいずれまた形を変えて、あたしに傷を残してゆく。
ねぇ、あなたの目には
あたしのこの傷が
どう見えますか?
可哀相だね、って
共に涙を流してくれますか?
それとも
自業自得だ、って
そう言ってあたしを責めますか?
…それでも、あたしは構わない。
例え、一生消えない傷を負ってしまっても
あなたに付けられた傷なら。
それすら
きっと、愛しい傷跡に変わるから。
優しい、傷跡に。