ノーチェ



……………


「雨すごいな。」

「そうだね。」


相変わらず止む気配を見せずに降り続ける雨。

サービスエリアを出て再び車を走らせる桐生さんの横顔。


凛としたその横顔は
やっぱり、あたしをドキドキさせる。




…あたしは、桐生さんが好き。

まるで自分に言い聞かせるように、心の中で呟いた。



そうでもしなきゃ
昨日の出来事が無意識に浮かんできて

薫に心を支配されてしまいそうになる。



左手で煙草を持ちながらハンドルを操作する桐生さんの薬指に視線を移動した。

そして、自分の左薬指を見る。



他人が見たら
あたしたちは一体、どう見えるんだろう。

8歳という年の差を
彼はどう思っているんだろう。



……薫は、あたしを
一体どう思ってるの?




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