ノーチェ
ぶつかった視線に眉を下げて微笑んだ桐生さんは慈しむようにあたしの髪を指に通す。
彼に触れられた髪が肩にサラっと落ちて
「何だか、無理してる気がする。」
と桐生さんが頬に手を添えた。
…無理、してる?
あたしが?
「…そんな事ないよ?」
無理なんてしてない。
だってあたしは――…
「ん…っ!」
否定の言葉を並べようとすると、桐生さんはそのままあたしを壁に寄せて唇を奪った。
突然の口づけに呼吸の仕方を忘れてしまう。
だけどあたしはそれに応じて桐生さんの首に腕を回した。
…大丈夫。
あたしは、桐生さんが好きなんだから。
だから、無理なんてする訳ないじゃない。
桐生さんの愛撫に体が反応する。
「……っ、あ…っ!」
貪るように互いに求め合って、そのまま二人で果てた。