ノーチェ
ありがと、と菜月に微笑んで、それと同時に目の前に置かれたビール。
「あ、今日はすぐ帰るから!みんなにお土産渡しに来ただけ。」
そう言って袋からお土産を取り出して二人に手渡す。
「おぅ、ありがと。何か悪いね、気ぃ遣わせちゃって。」
「ううん、こちらこそいつも入り浸ってるから。」
あたしの言葉に、啓介くんが声を上げて笑った。
「じゃあ、コーヒーなら飲むでしょ?」
「あ、うん!」
にっこりと口を上げた啓介くんはそのままコーヒーメーカーの電源を入れた。
「んじゃっ、このビールもーらいっ!」
「またぁ。飲み過ぎないでよ?」
「わかってるー。」
そう言って菜月はあたしからビールを奪って飲み出す。
そんな菜月に小さな溜め息を落とすと
あたしはゆっくりと口を開いた。
「…薫は?」