I Know~俺たちは諦める恋ほど、溺れるように愛し合う~
病院。
医師(せんせい)が診察室から出て来た。
「医師、妹は?」
「大丈夫ですよ。ただの寝不足です」
「よかった…」
「それと…妹さんは妊娠しています」
医師ははっきりと、そう言った。
…乃愛が妊娠!?
嘘…だろ?
あの夜に…
「妊娠…ですか?」
戸田が言う。
「…っ」
愛実は手で口を覆った。
「はい、妊娠3ヶ月に入ったところです。目を覚ましたら帰って結構です」
「わかりました…」
病室。
「乃愛には彼氏なっていなかったのに…」
戸田が呟く。
「…好きな人ならいたわ。変だと思ったの、あなたがここ2か月も私を抱こうとしてなかったから。ねぇ、そうでしょ?翔也…」
「…っ」
愛実は涙を溢れさせながら、俺を見た。
「…っ!本当なの?先生…」
「乃愛と翔也はずっと惹かれ合っていたのよ。それは2人を見てば、わかったわ。…プロポーズされた時も翔也を信じようと思った。なのに…どうして、私を裏切ったの!?どうして、乃愛を抱いたの!?ひくっ…」
「愛実お姉ちゃん…」
愛実は床に崩れ込んだ。
「ごめん…ごめんな。愛実…っ」
…俺は諦めるほど、乃愛を愛した。
これが罪を犯した結果…
決して許されない。