I Know~俺たちは諦める恋ほど、溺れるように愛し合う~
俺たちが罪を犯したのは、愛実が出張から帰って来る前日だった。
家。
「遅くなったな…」
―――ガチャ。
ウチの玄関を開けてリビングに入ると、ソファーで横になって寝ている乃愛の姿があった。
食卓のテーブルの上には2人分の夕食があった。
「待っていてくれたのか?」
ネクタイを緩めながら、ソファーに座り乃愛の黒髪でボブ系の髪を撫(な)でる。
こいつと出逢ったのは、高校の入学式。
その後で、付き合っていた愛実の妹だとわかった。
乃愛と一緒に過ごす中で…
乃愛のことを知るたびに…
俺は惹かれていった。
でも、愛実のことも好きだから…
裏切れないんだ。
なら、こいつの”義理の兄”として傍にいよう。
「ごめんな…好きだよ。乃愛…」
そう言って、そっと唇を塞(ふさ)いだ。