I Know~俺たちは諦める恋ほど、溺れるように愛し合う~
【乃愛】
―――ガチャ。
ウチの玄関を開ける音で、目を覚ます。
私はそのままソファーで横になって寝たフリをした。
「待っていてくれたのか?」
そう言って、ソファーに座り私の髪を撫でる。
胸がトキドキする。
神谷先生と出逢ったのは、高校の入学式。
その後で、お姉ちゃんと付き合っているとわかった。
先生と一緒に過ごす中で…
先生のことを知るたびに…
私は先生のことを好きになっていった。
でも、先生はお姉ちゃんと結婚する。
お姉ちゃんを裏切れない。
なら、あなたの”義理の妹”として傍にいたいの。
「ごめんな…乃愛…」
先生は私の名前を初めて呼んだ。
今まで名字でしか呼ばれたことがなかった。
そして、私にキスをした。
先生はそっと唇を離して、自分の部屋に入って行った。
―――バタン。
私は体を起こして口を覆った。
ねぇ、どうして私にキスをしたの?
教えてよ、先生…