I Know~俺たちは諦める恋ほど、溺れるように愛し合う~
【翔也】
朝。
俺たちは手をしっかりと、絡めたまま眠っていた。
「おはよ」
「おはよ…」
目が覚めると、乃愛は恥ずかしそうな顔をして体を起こした。
「身体は大丈夫か?」
乃愛は『初めて』なのに手加減ができなかった。
「うん…」
俺は愛実を裏切ってまで、乃愛を深く溺れるように愛してしまった。
諦めなければいけない恋なのに…
「後悔はしてないか?」
「後悔はしてないよ。翔也が私のことをどれだけ『大切』に思ってるか、ちゃんと伝わったから…」
「乃愛」
「好き」、「愛してる」を言葉にしなくても伝わるように…
お互いにどっちらからでもなく、キスをした。
これが『最後のキス』…
想いが通じ合っていれば、きっと俺たちは大丈夫。
絡めていた手をそっと離した。