先生と呼ばないで【完】
買った画材を持って、私達は八神君の自宅に向かった。
相変わらず息を呑むくらいの豪邸ですごかったけど、中に入ると広すぎて少し寂しく感じる。
「俺飲み物持ってくから先に部屋行ってて」
「うん」
八神君の部屋に入ると、部屋に飾られていた絵は全てなくなっていて、イーゼルと椅子だけが寂しそうに置いてあった。
お父さんに絵の物は全部捨てられたって言ってたけど…本当だったんだ。
どうして…どうしてそんなひどいことができるんだろう。
「なんか懐かしいな。小春ちゃんが前にうちに来たときはただのおせっかい教師って思ってたのに」
その時八神君がアイスコーヒーが入ったグラスを持って部屋に入ってきた。
「私も…八神君が私のせいで学校に来なくなったんじゃないかって思って…必死だったな…」
まさか彼を好きになってしまうなんて。