先生と呼ばないで【完】
「今…松原先生のこと考えてたでしょ」
八神くんが少し拗ねた顔でそう言う。
それを見て胸がぎゅっと締め付けられた。
「ううん、別に….」
「小春ちゃん見てればわかるよ…あー。やっぱ悔しいし帰したくねぇーな…」
「八神くん…」
「でも、もーちょいの辛抱だよな。あと半年…頑張れば卒業だし」
私は何も言えず、俯いた。
八神くんはそんな私の顔を見ていたようだけど、私は顔を上げることができなかった。
さっきから私の様子が変だと、気づいてるのかな…
でも、笑顔で嘘をつけるほど、まだ私は八神くんの事を吹っ切れていない。
八神くんは、またしばらく無言のままペンを走らせた。
「あのさー…小春ちゃん明日暇?」
「え?ええ…」
暇というか、謹慎中だから家にいるしかない。
「明日…付き合ってほしいところがあるんだけど」