先生と呼ばないで【完】
私たちは生徒と先生に戻るんだ。
そう思ったら胸が苦しくなって、涙が溢れてきた。
喉が痛い。早くこの涙を引っ込めなきゃ。
でも思い通りにはいかないもので、溢れてきた涙は頬を通り、顎の方へと流れていく。
八神くんなら、この涙をすくってくれただろう。
でも、その八神くんはもう私の隣にはいないんだ。
私は駅のトイレに駆け込み、思っきり泣いた。
泣くのはこれで最後にする。
だから、どうか今だけ…今だけ泣かせて。
京平だって変に思うだろう。勘が鋭い京平に気づかれたら、また八神くんが危険だ。
涙でグチャグチャになった顔を直し、私は京平が待つアパートへ向かった。