先生と呼ばないで【完】
冷酷そうな瞳が怖く感じた。
この人が八神くんの絵や画材を捨てたんだよね…
私を見る目つきが次第に険しいものになっていく。
「もしかすると…この先生ですか?」
「は、はいっ…そうです…」
教頭が私に「挨拶しなさいっ」と小声で言ってきた。
父親は、私と八神くんの噂を知ってるんだよね…
「副担任の斎藤小春です。この度は私の軽率な行動によって八神くんにご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした…」
頭を下げると、父親に鼻で笑われた。
「特別美人でもないし、低能そうじゃないか。こんな女のためにお前は謹慎になったのか?」
て、低能って‼︎
美人じゃないのは認めるけど…八神くんの父親って本当に酷いこと言う。
八神くんは「先生とは何もねぇよ」と一言つぶやいた。
私の方を一切見ようとはしなくて。
それがなんだか寂しく感じてしまった。
「あのっお父様、八神くんを休学させたいって…」
「ああ、そうです。今その話をしていたところで。でもあなたのせいではないですから。あなたごときで隼人がどーにかなったりしませんからね」
あなたごとき…時々イラッとする事を言ってくる。
教頭や校長は父親にヘコヘコしていて気持ちが悪い。