先生と呼ばないで【完】
「隼人が絵を描いているのは知ってますよ、ずいぶん前から…でもね、あくまでそれは夢であって、今の隼人には必要ないことですから。これからやってもらわなきゃいけないことが沢山ありましてね…」
今の八神くんには必要ないこと⁉︎
親が勝手にそんなこと決めて…
八神くんの方を見ると、黙ったまま俯いている。
どうしたの…?八神くん…
いつもの八神くんならきっと何か言い返してたはず。
「本当に…そう思ってるんでしょうか…」
「え?」
「子供の夢を応援しない親なんて…いるんですか?お父様、八神くんは認めてもらおうと必死でした。画材を捨てられても、諦めずに描き続けていたんです!どうか…その熱意を受け止めてあげてください!」
父親は私の顔を見てため息をついた。
「やはり…この女教師となにかあるようだな。お前のことについてやたら詳しい」
父親の言葉に、私は声を詰まらせた。
八神くんの方を見ると、私とは目を合わせないまま、
「何の関係もないって言ってんだろ」
と、答えていた。