先生と呼ばないで【完】
「いいんだ。俺はずっと気づいてたけど今まで言えなかった。お前が離れていくのが怖くて…だから結婚すれば俺のものになると思ってたんだ」
「ごめん…そんな風に思ってたなんて知らなくて…」
八神くんのことがあってから、京平に対して怒りしかなくて、気持ちなんか考えもしなかった。
京平だって辛かったんだ…
「小春を繫ぎ止めたくて、脅すことまでした。後からなんてバカなことしたんだろうと後悔したよ」
フッと笑う横顔が、寂しそうで。
いつも大人な京平が、今日はなんだか別人みたい。
「だから、俺なりに考えていたんだ。小春が幸せになれる方法」
「え?」
「学校で恋人のふりをしていれば、お前らの噂は消えるだろ?そうすれば2人は周りからとやかく言われることもないし、小春は教師を辞めなくてすむ」
「あ…だから今日生徒たちに言ったの?結婚するとか…」
「あれな…実はお前と八神のこと噂してる奴らがいて。多分お前らが抱き合ってる所を見たヤツだと思う。でも俺と結婚する予定って言ったら大騒ぎになって、その噂もどっかに吹っ飛んでったよ」
京平は私のために嘘をついてくれたんだ。