先生と呼ばないで【完】
悪魔の笑顔
念願の教師になって1か月。
私には今、最大の悩みがあった。
「八神隼人の監視?」
「…うん。卒業までに更正させて、成績を上げてほしいって…」
「教頭にそんな事言われたのか?」
「…うん」
京平(きょうへい)はベッドの横に置いていた箱からタバコを一本を取り出し、火をつけた。
煙たい臭いが、鼻の奥をツンとさせた。
…寝室では煙草吸わないでって前に言ったのに。
「なんでまた新任のお前が?」
「若い女の先生の方が言う事聞くかもしれないって言われて」
“若い先生に期待はしていませんがね”って言われたのがちょっとムカついたけど。
「…んー、まぁな。あいつは相当手ごわそうだけど。何人もの先生が頭を悩ませてきた奴だし」