先生と呼ばないで【完】
京平は今3年生のクラス担任をしていて、毎日大変そうだからあまり頼りたくなかった。
3年生は進路の事とか、何かと忙しいし。
困らせたくない。
「てかさ、ふたりは結婚の話とか出てないの?」
ジンバックを吹き出しそうになった。
「出てないよ!私はまだ仕事始めたばっかだし…」
「でもうちらは24、あっちは26だよ?そろそろそういう話が出ても…」
結婚なんて考えてもいなかった。
今私は京平と同棲してるけど、まだまだこのままの関係でいるんだと思ってたし。
京平だって、結婚の『け』の字も出してこないし。
「とにかく、今は仕事の事で頭がいっぱいなの!」
「なぁんだ、そっかぁ…」
智子はつまんないといった顔をしながら、トイレに立った。
はぁ。こんな風に周りから『結婚』の事を言われる年になったのか…
京平と結婚…なんだか今は考えられない。
毎日仕事のことで頭いっぱいだし…
なんせ今は大問題児を抱えているし…
ふと、壁に目を向けると。
この前一人で飲みに来たときに見つけた、あの綺麗な絵が私の瞳に飛び込んできた。