先生と呼ばないで【完】
「こんなに綺麗な絵を描く力を持っているのに…勿体ない」
「うん、オレもまた描いてくれることを願ってるんだけど」
その時、智子がトイレから戻ってきた。
「そろそろ帰ろうか?」
「そうだね」と返事をしようとした時、突然携帯が鳴った。
……八神君!?
嫌な予感がしたけど、私は通話ボタンを押した。
「………もしもし?」
『あっセンセー?』
八神君はいつにも増してテンションが高かった。
外にいるのか、にぎやかな声と音楽が聞こえてくる。
「八神君…今どこにいるの?」
『…内緒ーーッセンセーこそ今なにやってんの?』
「質問に答えなさい、もう夜の11時よ?」
『まだ11時じゃん…暇ならさ、一緒に遊ばない?』
受話器越しに、女の子の声が聞こえてくる。
…クラブにでもいるのだろうか。