先生と呼ばないで【完】
八神君は振り返り、私の瞳をじっと見据えた。
「それって教師としての義務で?それとも…センセーがそうしたくてするの?」
「……私がそうしたくてするの」
「……これ以上オレに近づくと、センセー傷つくかもよ?」
「いいわ。そんなの。傷つけていい」
しばらく見つめ合った後、八神君は私から視線を外した。
「………あっそ。じゃあ勝手にすれば?」
「うん、勝手にするよ」
八神君の腕を掴むと、無理やり出口まで引っ張って行った。
「おいっっ!なにすんだよ!?」
「勝手にするって言ったでしょ!?」
今日は何が何でも帰らせる。
じゃないと、私がここに来た意味がない。
手が痛くなるほど、引っ張ったため、八神君の服がちょっと伸びた。