先生と呼ばないで【完】
「最近忙しくて家でもあんま話せなかったけど…なんか小春、すごい悩んでる顔してる」
「うん…ちょっとね、生徒の事で」
「……ああー、八神君の事?」
京平には、あの日八神君にキスされたという事を言っていない。
そんな事、口が裂けても言えなかった。
「彼、月曜からずっと休んでるの。元々授業も受けない子だし、このまま不登校にでもなったらどうしようって思って」
「んー、あいつはなぁ。本当に難しいヤツだから…まぁ、小春は結構頑張ってると思うし、そこまで気にしなくてもいいと思うけど」
「でも…助けたいと思って…八神君、夢があるみたいだし」
「夢?」
「多分…画家になりたいんだと思う」
すると京平が、ハハっと笑った。
「画家かぁ、アイツがなぁ…またでかい夢だな…」