先生と呼ばないで【完】



「そーだけど…」



「…木炭も使うの?」



床の新聞紙の上に木炭が置かれていた。




「下絵に使うんだよ」



「え、これ鉛筆じゃないの!?」



「木炭の方が消しやすい。鉛筆は消しにくいし、ヘタにキャンバスに力を掛けると、布がたるむし」



そう言って、八神君は私の手から布を取りあげると、絵にかぶせた。


穏やかな表情…


絵の事を話してる八神君って、普段と違う顔になるんだ…




「つーか、何なの?また教頭に頼まれた?」



ドカッとベッドに座り、笑って私を見上げた。




「違うの。………この前はあなたの気持ち知りもしないで色んな事言っちゃったから…気にしてるのかと思って。それで学校に行くのが嫌になっちゃったのかと…」


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