先生と呼ばないで【完】
「じゃさ、美術室空いてたらさっそく今日から始めよ」
「…わかったわ」
「じゃ、また放課後っ♪」
八神君は鼻歌なんか歌いながら教室の方へ行った。
ああ、また八神君のペースに乗せられてしまった…
でもこれが彼の将来のためになるなら…協力してあげたいと思ったのは事実で。
八神君の絵を見れば、京平もきっとわかってくれる。
そう信じていた。
放課後、私は美術室にいた。
美術部の顧問の先生は快くこの事をOKしてくれて、画材も自由に使っていいと言ってくれた。
ふたりっきりになるのなんて慣れているはずなのに、なぜかそわそわしてしまう。
彼はどんな風に私を描いてくれるんだろう。