先生と呼ばないで【完】
―――ガラッ…
勢いよく美術室のドアが開き、八神君が入ってきた。
「お待たせ~」
そう言ってパッと着ていたジャケットを脱いだ。
白いYシャツを腕まくりした八神君は、なんだかいつもとちょっと違う人のように見える。
「…どした?なんかオレについてる?」
「え!?や、別にっ…」
「そう?」
「うん…」
ヤバイ。完全に見とれてた。
うん、今のは認める。
「じゃ、さっそく始めるか。んーじゃあそこの木の椅子真ん中に持ってきて座って?」
私は言われたと通りにして座った。
描く角度を決めてるのか、何度も私をあらゆる角度から見つめてくる。
それだけでドキドキして、すでに汗がにじみ出てきた。