先生と呼ばないで【完】
ようやく角度が決まり、八神君は私の右側に自分の椅子とイーゼルを持ってきた。
「あのさ、なんかポーズってしなくていいの?」
「あーいいよそのままで。無理にポーズとられるとぎこちない顔になるし」
「そっか…じゃあ私はこのまま真っ直ぐ向いてればいいのね?」
「ん。…本当は脱いでほしいけどね」
「えっ!?」
ボソッとつぶやいたのを、私は聞き逃さなかった。
「うっそー。いいから前向いててよ」
「え、う、うん…」
八神君って時々どきっとするような事を言ってくる。
よく考えれば冗談だってすぐわかるような事なんだけど、私ってばいちいち間にうけちゃうのよね…