先生と呼ばないで【完】
静かな美術室に、校庭で活動しているサッカー部の生徒達の掛け声と、カリカリという鉛筆の音が鳴り響く。
何分経っただろう。
横を向くことができないから時間も確認できない。
八神君がどんな表情で描いているのかもわからない。
…でも、私を刺すような視線はずっと感じている。
日が沈んできて、教室がだんだん暗くなってきた。
首はもちろん、体全体が痛い。
「や、八神君…ちょっと疲れてきちゃったんだけど…」
「あ、ごめん。動いていいよ」
そう言われ、ホッとして八神君を見ると、彼は汗をかいていた。
描くのに体力がいるのだろうか。
「今日はここまででいーや。結構進んだし」
私は「どれどれ」と、八神君の近くに行って絵を覗いてみた。