先生と呼ばないで【完】
気づいてしまった想い
それから数日間、私達は放課後に美術室が使える日は、絵を描いていた。
私を見つめる彼の目はいつも真剣で、なんだか私の心はその度に締め付けられた。
こんなに夢中になれるものを持っている事が、少し羨ましくも感じた。
そんなある日、いつものように放課後美術室へ行くと、まだ八神君の姿がなかった。
今日はあたしの方が早く来ちゃったな・・・
最近、放課後になるのを待ち遠しく思ってる自分がいる。
八神君が必死に絵と向き合ってくれているからあたしも嬉しかった。
絵を見ようと布がかけられている絵に近づいたとき、全身が凍り付いた。
「・・・え?」
勢いよく布を取ると、そこには真ん中から破られた絵が。
あたしは青ざめ、声が出なかった。
ここに八神君のお父さんが来れるはずないし、・・・一体誰が!?
ぞくっと、体が震える。