先生と呼ばないで【完】
「・・・最初はただ彼を更正させたい思いだけだった。でも、八神君の絵を見て、夢を知って、諦めないでほしいと思ったの。だから絵のモデルも引き受けたのよ・・・それっていけないこと?」
京平は自分の机の引き出しから、1枚の紙を取り出して私に見せた。
「・・・婚姻・・・届!?」
そこには京平の名前とハンコがすでに押されていた。
「書いてハンコを押せ」
「・・・え?」
「書くなら八神の絵の邪魔もしないし、親にも報告しない」
心臓がドクドクと鳴り響く。
「・・・もし・・・書かなかったら・・・」
「その場合は八神の親に報告するつもりだ」
どうして・・・
どうしてそう強引な事をするの・・・!?
京平の考えていることがわからなくなった。