先生と呼ばないで【完】
「・・・もしかして絵見た?」
私はコクンと頷いた。
「・・・泣くなって、あんくらいで。また描きなおせばいーだろ」
簡単に言うけど、簡単な事じゃない。
私は見てきたもの、この数日間の真剣に取り組んできた八神君の表情を。
あれを無駄にしたのは・・・私のせいでもある。
悔しくて、やりきれなくて、色んな思いが溢れ出てきて、涙が止まらなかった。
「え、ちょっと。号泣!?」
八神君は驚いて私に近づいてきた。
私は自然と八神君の胸に自ら顔を埋めてしまい・・・
「・・・小春ちゃんだいぶ参ってるね」
そんな私を八神君はそっと抱きしめてくれた。
なんだかそれがすごく心地よくて、温かかった。
生徒にこんなことして、こんな弱いとこ見せるなんて教師失格だと思うけど・・・