先生と呼ばないで【完】
大きな壁
翌日の朝―――
いつも通り職員室に入ると、異様な雰囲気が漂っていた。
・・・何かあったのかな。
「佐々木先生おはようございます」
隣の席の佐々木先生は私より5つ年上の頼れる先輩のような存在だった。
「ああ、おはようございます!」
「あの・・・何かあったんですか?」
「私もよくわからないんですけどね、なんか校長室が騒がしいみたいで・・・教頭先生もいつもと様子違うし、生徒の事でなんか事件があったんじゃないかって噂が・・・」
一瞬、昨日の八神君とのことが頭をよぎり、ドキッとした。
いや、まさか・・・
あの時間は生徒も帰ってるはずだし人の気配もしなかった。
「斉藤先生!ちょっと・・・」
その時、私は教頭先生に呼ばれた。
周りの先生方が一斉に私に注目する。