先生と呼ばないで【完】
「きょ、京平・・・」
「一部始終聞こえたよ。ちょっとこっちこい」
京平は私の腕を掴んで近くの空き教室に入った。
「お前ら、昨日本当は抱き合ってたんだろ?」
顔を上げると、京平は少し半笑いで私を見下ろしていた。
「・・・答えたくない」
「クッ・・・小春の顔を見ればわかるよ、またあいつをかばおうとしてるんだろ」
拳をギュッと握りしめた。
「八神君の・・・夢の邪魔をしたくないの。そのためなら私はどうなってもいいと思ってる」
「そうゆーことだろうと思った。・・・自分を犠牲にするほどあいつが好きなのか?」
私は京平の目を見つめた。
「・・・・・・ええ。そうよ」
すると京平はハッと、短く鼻で笑った。