先生と呼ばないで【完】
こうなることは予想できたはずだった。
それなのに油断して私から抱きついてしまったんだ。
こんな事で八神君の夢を壊したくない。
彼の事は忘れよう・・・
私は職員トイレで八神君に電話した。
『小春ちゃん⁉︎大丈夫⁉︎』
八神君…すごい心配してくれている。
声を聞いたらホッとした。
「私は大丈夫…それより八神君が謹慎になっちゃって…私がもう少し気をつけていれば…本当にご」
『待って』
「え?」
『謝んなよ、小春ちゃんの責任じゃねーんだから。あの時は俺が抱きしめたくてしたことだし。こんなことになっても後悔はしてねぇ』
「八神君…」
『でも小春ちゃんが学校で色々言われてたらやだからさ…マジで大丈夫?』
八神君は真っ直ぐだね。
素直で綺麗で、あなたの夢はこれから先どんどん膨らんでいって、やがて実現されることになる。
私なんて、ただの通過点に過ぎない。
やっぱり私は側にいちゃいけないんだ。
彼はこの先、大きく羽ばたいて行く人だから。