人間狩り【編集中】






 立っている男女がいた。そう、彼らは、余った、殺される立場にある人。



 茂呂 隆太郎と榊原 繭。2人とも、熱血で頑固一徹なタイプだ。良くも悪くも、はっきりとしている。



「早く舞台上がれよ」



 普段は調子の良い、葉山 健太が言った。


 つい数分前は、暗い陰鬱気な表情をしていたのが、今度は、苛々と八つ当たりするような態度をしていた。健太だけでない、ピリピリと、全体が焦燥とした雰囲気が漂っている。


 これは、ゲームが始まったからだろうか。新たな惨劇が、どんな形であれ、繰り広げられるから。



「おまっ…最低だな…」



 眉を下げて茂呂君が憎々しげに吐き出す。



「ちぃ」


 陽菜がふと、千春に声を掛けると、


「…なに?」


 疲労困憊といった様子の千春が、陽菜を見た。



「藤沢、具合大丈夫か?」



 光太も千春を見て言う。



「なんとか、大丈夫だけど…もう、見たくないよ」



 千春の視界が滲む。


 美琴と亜梨沙の最期を、この目で目撃した。ふたりは、鮮血を吹き出し、自ら命を絶った。


 それだけじゃない!羽村も、唯たちも、あんな凄惨に、殺されてしまったのだ。



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