人間狩り【編集中】
(私の知ってる百合香ちゃんじゃ、ない!)
千春は、舞台を見てはいないものの、百合香のセリフは静かな体育館に響くため、聞こえていた。
心の中で、何かが崩壊していく。
(百合香ちゃんが優しいっていうのは、ただのレッテルで、私たちの虚妄が作り上げたっていうの?)
千春は、走馬灯のごとく、思い浮かべる。
控えめな性格だけど、他人に気配りのできる、百合香。
席が前後だった時は、授業で千春が分からないところを事細かに教えてくれた。運動も勉強もできて、万能な百合香。それでいて、人格者だった。千春はそう思っていた。
困っている人がいたら、絶対に助けるような、そんな性分だと。
けれど、今────百合香は、違う!
このゲームに翻弄され、薄ら笑いを、対象に向けている。
「私は、優しくなんかない。臆病でもない!勝手に勘違いして思い上がってるだけでしょう!!だけど、私は!羽村くんみたいに殺さずに、待つことなんてしない!」